Jashumon

To Father

Father, though you at first disapproved, your son has longed for the place of his birth and thus has sung through his youthful days. May you now no longer reproach him.

余は内部の世界を熟視めて居る。陰鬱な死の節奏は絶えず快く響き渡る……と神経は一斉に不思議の舞踏をはじめる。すすりなく黒き薔薇、歌うたふ硝子のインキ壺、誘惑の色あざやかな猫眼石の腕環、笑ひつづける空眼の老女等はこまかくしなやかな舞踏をいつまでもつづける。余は一心に熟視めて居る……いつか余は朱の房のついた長い剣となつて渠等の内に舞踏つてゐる………
長田秀雄
ここ過ぎて曲節メロデアの悩みのむれに、
ここ過ぎて官能の愉楽のそのに、
ここ過ぎて神経のにがき魔睡に。
詩の生命は暗示にして単なる事象の説明には非ず。かの筆にも言語にも言ひ尽し難き情趣の限なき振動のうちに幽かなる心霊の欷歔をたづね、縹渺たる音楽の愉楽に憧がれて自己観想の悲哀に誇る、これわが象徴の本旨に非ずや。されば我らは神秘を尚び、夢幻を歓び、そが腐爛したる頽唐の紅を慕ふ。哀れ、我ら近代邪宗門の徒が夢寝にも忘れ難きは青白き月光のもとに欷歔く大理石の嗟嘆也。暗紅にうち濁りたる埃及の濃霧に苦しめるスフィンクスの瞳也。あるはまた落日のなかに笑へるロマンチツシユの音楽と幼児磔殺の前後に起る心状の悲しき叫也。かの黄臘の腐れたる絶間なき痙攣と、ヸオロンの三の絃を擦る嗅覚と、曇硝子にうち噎ぶウヰスキイの鋭き神経と、人間の脳髄の色したる毒艸の匂深きためいきと、官能の魔睡の中に疲れ歌ふ鶯の哀愁もさることながら、仄かなる角笛の音に逃れ入る緋の天鵞絨の手触の棄て難さよ。
昔よりいまに渡り来る黒船縁がつくれば鱶の餌となる。サンタマリヤ。
『長崎ぶり』
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われは思ふ、末世まつせ邪宗じやしゆう切支丹きりしたんでうすの魔法まはふ
黒船くろふね加比丹かひたんを、紅毛こうまう不可思議国ふかしぎこくを、
色赤いろあかきびいどろを、にほひきあんじやべいいる、
南蛮なんばん桟留縞さんとめじまを、はた、阿刺吉あらき珍酡ちんたの酒を。
目見まみ青きドミニカびとは陀羅尼誦だらにずし夢にも語る、
禁制きんせい宗門神しゆうもんしんを、あるはまた、血に染む聖磔くるす
芥子粒けしつぶを林檎のごとく見すといふ欺罔けれんうつは
波羅葦僧はらいそそらをものぞちゞなる眼鏡めがねを。
いへはまた石もて造り、大理石なめいしの白き血潮ちしほは、
ぎやまんのつぼに盛られてとなれば火ともるといふ。
かのしき越歴機えれきの夢は天鵝絨びろうどくゆりにまじり、
めづらなる月の世界の鳥獣とりけもの映像うつすと聞けり。
あるは聞く、化粧けはひしろ毒草どくさうの花よりしぼり、
くされたる石のあぶらゑがくてふ麻利耶まりやざうよ、
はた羅甸らてん波爾杜瓦爾ほるとがるらのよこつづり青なる仮名かな
うつくしき、さいへ悲しき歓楽くわんらくにかも満つる。
いざさらばわれらにたまへ、幻惑げんわく伴天連ばてれん尊者そんじや
百年ももとせ刹那せつなちゞめ、血の磔脊はりきせにし死すとも
しからじ、願ふは極秘ごくひ、かのしきくれなゐの夢、
善主麿ぜんすまろ今日けふいのりたまくゆりこがるる。
四十一年八月
晩春おそはるむろうち
暮れなやみ、暮れなやみ、噴水ふきあげの水はしたたる……
そのもとにあまりりす赤くほのめき、
やはらかにちらぼへるヘリオトロオブ。
わかき日のなまめきのそのほめきしづこころなし。
きせざる噴水ふきあげよ………
なるるるくさ奇異きい香木かうぼく
その空にはるかなる硝子がらすの青み、
外光ぐわいくわうのそのなごり、鳴けるうぐひす
わかき日の薄暮くれがたのそのしらべしづこころなし。
いま、くろ天鵝絨びろうど
にほひ、ゆめ、その感触さはり………噴水ふきあげもつれたゆたひ、
うち湿しめかははこゆる褐色かちいろ
その空に暮れもかかる空気くうき吐息といき……
わかき日のその夢の腐蝕ふしよくしづこころなし。
三層さんかいすみか、さは
くされたる黄金わうごんふちうち自鳴鐘とけいきざみ……
ものなべてなやましさ、ひし少女をとめ
あたたかににおひふかき感覚かんかくのゆめ、
わかき日のその靄にひびく、しづこころなし。
晩春おそはるむろうち
暮れなやみ、暮れなやみ、噴水ふきあげの水はしたたる……
そのもとにあまりりす赤くほのめき、
甘く、またちらぼひぬ、ヘリオトロオブ。
わかき日はるれども夢はなほしづこころなし。
四十一年十二月
ゆふべとなればかのおもひ曇硝子くもりがらすをぬけいでて、
すたれしそののなほあまきときめきのふるへつつ、
はやゆる芙蓉花ふようくわくされのあかきものかげと、
もつれてやまぬ秦皮とりねこ陰影いんえいにこそひそみしか。
如何いかべどもしづまらぬひとみえず涙して、
かへるともせず、ひそやかに、はた、はてしなく見入みいりぬる。
そこともわかぬ森かげの鬱憂メランコリア薄闇うすやみに、
ほのかにのこる噴水ふきあげの青きひとすぢ……
四十一年十月
邪宗じやしゆうの僧ぞ彷徨さまよへる……瞳ゑつつ、
黄昏たそがれ薬草園やくさうゑん外光ぐわいくわうに浮きいでながら、
赤々あか〳〵と毒のほめきの恐怖おそれして、ふるおのゝ
陰影いんえいのそこはかとなきおぼろめき
まへに、うしろに……さはあれど、月の光の
なるあしのわかふるふ時。
あるは、靄ふる遠方をちかたの窓の硝子がらす
ほの青きソロのピアノのむせぶ時。
ゑつつ身動みじろかず、長き僧服そうふく
爛壊らんゑする暗紅色あんこうしよくのにほひしてただ暮れなやむ。
さて在るは、さきひたる
Hachischハシツシユ の毒のめぐりを待てるにか、
あるははげしき歓楽くわんらくの後の魔睡ますゐや忍ぶらむ。
手に持つは黒きふくろう
爛々らん〳〵は光る……
……そのすそに蟋蟀こほろぎの啼く……
四十一年十二月
夕暮ゆふぐれのものあかきそら
そのそら百舌もずきしきる。
Whiskyウイスキイびんれつ
ひややかに少女をとめ
見よ、あかき夕暮ゆふぐれそら
そのそら百舌もずきしきる。
四十一年十一月
やはらかに腐れつつゆくやみむろ
その片隅かたすみうすあかり、そびらにうけて
天鵝絨びろうどあかきふくらみうちかつぎ、
にほふともなくるとなく、うづくみ居れば。
暮れてゆく夏の思と、日向葵ひぐるま
しおれの甘きもぞする。……ああ見まもれど
おもむろになやみまじろふ色の陰影かげ
それともわかね……熱病ねつびやうの闇のをののき……
Hachischハシツシユ か、か、茴香酒アブサンか、くるほしく
おぼれしあとの日の疲労つかれ……もつれちらぼふ
Wagnerワグネル恋慕れんぼがくのゆらぎ
耳かたぶけてうちかし、りはれども。
それらみな素足すあしのもとのくらがりに
爛壊らんゑの光はなつとき、そのかなしみの
くされたるきよくみどり如何いかにせむ。
君を思ふとのたまひしゆめの言葉ことばも。
わかき日のあかきなやみに織りいでし
にほひ、いろ、ゆめ、おぼろかにぐとなけれど、
ものやはに暮れもかぬれば、わがこころ
天鵝絨びろうど深くひきかつぎ、今日けふも涙す。
四十一年十二月
濃霧のうむはそそぐ……くされたる大理だいりの石の
なまくさく吐息といきするかと蒸し暑く、
はた、ひややかに官能くわんのうつかれし光――
月はなほ氛囲気ふんゐきおぼろなる恐怖おそれかゝる。
濃霧のうむはそそぐ……そこここに虫の神経しんけい
く、甘く、しつぶさるる嗟嘆なげきして
飛びもあへなく耽溺たんできのくるひにぞ入る。
薄ら闇、盲啞まうあゐん角硝子かくがらす暗くかがやく。
濃霧のうむはそそぐ……さながらにをのゝく窓は
亜刺比亜アラビヤ魔法まはふたち薄笑うすわらひ
麻痺薬しびれぐすりゆきに日ねもすせて
ろうしたる、はた、めしひたる円頂閣まるやねか、壁の中風ちゆうふう
濃霧のうむはそそぐ……甘く、また、重く、くるしく、
いづくにかしをれし花の息づまり、
そののあたりの泥濘ぬかるみに落ちし燕や、
月の色半死はんししようなやむごとただかき曇る。
濃霧のうむはそそぐ……いつしかに虫もひつつ
ろうしたる光のそこにうちしびれ、
おうしとぞなる。そのときにひとつの硝子がらす
幽魂いうこんごとくに青くおぼろめき、ピアノ鳴りいづ。
濃霧のうむはそそぐ……かずの、見よ、人かげうごき、
くる恐怖おそれか、いたきわななきに
ただかいさぐる手のさばき――たま弾奏だんそう
盲目めしひ弾き、おうし聾者ろうじやつぶかさなりのぞく。
濃霧のうむはそそぐ……声もなき声の密語みつごや。
官能くわんのうつかれにまじるすすりなき
たま震慄おびえも甘くろうしゆきつつ、
ちかき野にのどしめめらるるたはのゆるき痙攣けいれん
濃霧のうむはそそぐ……腐蝕ふしよくにく衰頽すゐたい、――
呼吸いき深く𠹭囉仿謨コロロホルムや吸ひ入るる
ろうたる暑き魔睡ますゐ……重く、いみじく、
おともなき盲啞まうあゐん氛囲気ふんゐきに月はしたたる。
四十一年十月
真昼まひる、ものあたたかに光素エエテル
波動はどうあまく、また、るく、に照りかへす、
そのにご硝子がらすのなかにおともなく、
𠹭囉仿謨コロロホルムしたたる……どく譃言うはごと……
とほくきく、電車でんしやのきしり……
………てられし水薬すゐやくのゆめ……
やはらかきねこ柔毛にこげと、あなうら
ふくらのしろみなやましくぎゆくときよ。
まどもとせい痛苦つうくただあかそよぎえたてぬくさの花
亜鉛とたんくだ
湿しめりたるかけひのすそに……いまし魔睡ますゐす……
四十一年十二月
嬰児あかご泣く……麦の湿しめるあなたに、
つゞけ泣く……やはらかに、なやましげにも、
むせび、むせび、あはれまた、嬰児あかご泣きたつ……
夏の雨さとぎて
あらたにもかをりす野のはたいくつ湿しめるあなたに、
赤ききぬひときはわかく、にほやかにけぶる揺籃ゆりごや、
磨硝子すりがらす、あるは窓枠まどわくれて夕日ゆふひさしそふ。
四十一年十二月
曇日くもりび空気くうきのなかに、
くるひいづるくす鬱憂メランコリアよ……
そのもとにきりは咲く。
Whiskyウイスキイのごときしぶき、かなしみ……
そこここにいぎたなき駱駝らくだ寝息ねいき
見よ、にぶ綿羊めんやうの色のよごれに
えてわらのくさみ、
その湿しめ泥濘ぬかるみに花はこぼれて
むらさきうすき色するどになげく……
はた、そらのわか威圧ゐあつ
いづこにか、またもきけかし。
ゑしベリガンのけうときさけび
山猫やまねこのものさやぎ、なげくうぐひす
くされゆくぬまの水すがごとくに。
そのなかに桐はる…… Whiskyウイスキイ の強きかなしみ……
ものあまき風のまたなまあたたかさ、
みだらなるけものらの囲内かこひのあゆみ、
のろのろとさがるなまけもの、あるは、まづしく
ゑて毛虫けむし嗟歎なげかひのほろほろてうよ。
そのもとに花はちる……桐のむらさき……
かくしてや日はれむ、ああひと日。
病院びやうゐんのが患者くわんじや恐怖おそれ
赤子あかごらののなやみ、わら黒奴くろんぼ
れし遊蕩児たはれを縦覧みまはりのとりとめもなく。
そのそらきりはちる……あたらしきしぶき、かなしみ……
はたや、また、そのそとゆく
軍楽ぐんがくくろ不安ふあんなだれ落ち、に入るときよ、
やるせなくさやぎいでぬる鳥獣とりけもの
また、そのなかに、
くるひいづる北極熊ほつきよくぐまの氷なす戦慄をののきこゑ
そのやみに花はちる…… Whiskyウイスキイ頻吹しぶき……桐のむらさき……
四十一年十二月
晩秋おそあきれにたる鉄柵てすりのうへに、
なる葉の河やなぎほつれてなげく
やはらかに葬送はうむりのうれひかなでて、
過ぎゆきし Tromboneトロムボオン いづちいにけむ。
はやも見よ、暮れはてし吊橋つりばしのすそ、
瓦斯がすともる……いぎたなき馬の吐息といきや、
さわぎやみし曲馬師チャリネし楽屋がくやなる幕の青みを
ほのかにもかゝげつつ、見るをんなひとみ
四十一年十二月
そら真赤まつかくものいろ。
玻璃はり真赤さけさけの色。
なんでこのかなしかろ。
そら真赤まつかくものいろ。
四十一年五月
くされたる林檎りんごのいろに
なほあをきにほひちらぼひ、
水薬すゐやくみしつくゑ
瓦斯がす焜炉こんろほのかにゆる。
病人やまうどはだををさめて
うれはしくさしぐむごとし。
湿しめる、医局いきよくのゆふべ、
よ、ほめく劇薬げきやくもあり。
いろえぬむろにはあれど、
こゑたててほのかにゆる
瓦斯がす焜炉こんろ………そらと、こころと、
硝子戸がらすどばむさびしさ。
しかはあれど、さむきほのほに
入日いりひさしそふみぎり、
ちはてしあきのヸオロン
ほそぼそとうめきたてぬる。
四十一年十二月
顏なほ赤し………うち曇りばめるゆふべ
十月じふぐわつ』はねつみしか、疲れしか、
にごれる河岸かし磨硝子すりがらすに凭りかかり、
霧のうち、入日のあとのかはをただうち眺む。
そことなきかいのうれひのきざみ……
淚のしづく………頬にもまたゆるきなげきや……
ややありて麪包パン破片かけらを手にも取り、
さはひややかに嚙みしめて、きたるべき日の
あぢもなき悲しきゆめをおもふとき……
なほもまたやす石油せきゆむせび、
腐れちらぼふ骸炭コオクスに足もごれて、
小蒸汽こじやうきはひばみぎし船腹ふなばら
一きは赤く輝やきしかの窻枠まどわくを忍ぶとき……
月光つきかげははやもさめざめ………淚さめざめ……
十月じふぐわつの暮れし片頬かたほ
ほのかにもうつしいだしぬ。
四十一年十二月
薄暮くれがたか、
日のあさあけか、
昼か、はた、
ゆめの夜半よはにか。
そはえもわかね、えわたる若きいのち眩暈めくるめき
赤き震慄おびえ接吻くちつけにひたと身顫みふる一刹那ひとせつな
あな、見よ、靑き大月たいげつは西よりのぼり、
あなや、またぎやくはてふるひして
東へ落つる日の光、
大空に星はなげかひ、
靑くめしひし水面みのもにほ藥香くすりがにほふ。
あはれ、また、わが立つ野邊のべの草は皆色も干乾ひからび、
折り伏せる人のかばねのうめき、
人靈色ひとだまいろ
木の列は、あなや、わが挽歌ひきうたうたふ。
かくて、はや落穂おちぼひろひの農人のうにんが寒き瞳よ。
歡樂よろこびの穂のひとつだに殘さじと、
はた、刈り入るる鎌のいたき光よ。
野のすゑにけものらわらひ、
血にえて汽車鳴き過ぐる。
あなあはれ、あなあはれ、
二人ふたりがほかのたましひのありとあらゆるその呪咀のろひ
朝明あさあけか、
薄暮くれがたか、
晝か、なほれもせぬ日か、
はた、いづれともあらばあれ。
われら知る赤きくちびる
四十一年六月
くされたる林檎りんごの如き日のにほひ
まろらに、さあれ、光なくあまげに沈む
晩春おそはるにごりおもたき靄のうち
ふと、カキいろ輕氣球けいききうくだるけはひす。
遠方おちかたくもれる都市とし屋根やねの色
たゆげにあふぐ人はいまにぶくも聽かむ、
濁江にごりえのねぶたき、あるは、ややあか
にほひの空のいづこにかるるてつ
なやましき、さはどろ沈澱おどみより
あかるともなき灰紅くわいこうの帆のふくらみに
つたへくる潜水夫もぐりのひと作業さげふにか、
えたる吐息といきそこはかと水面みのもばむ。
河岸かしになほ物見ものみる子らはうづくまり、
はやましげに人形にんぎやうをそが手に泣かす。
日暮ひくれどき、入日いりひに濁るもやうち
また、ふくらかに輕氣球けいききうくだるけはひす。
四十一年八月
うちくも暗紅色あんこうしよくおほき日の
魔法まはふの国にましげのゑみして入れば、
ものあま驢馬ろばの鳴くにもよほされ、
このもかのもに悩ましき吐息ぞおこる。
そのかみのはげしき夢やしのぶらむ。
鬱黄うこん百合ゆりににじむひとみをつぶり、
人間にんげんこゑしていどみ、飛びかはし
鸚鵡あうむの鳥はかなしげにつばさふるはす。
草も木もかの誘惑いざなひされつる
旅のわかうど、暮れ行けば心ひまなく
えもわかぬどく怨言かごとになやまされ、
われと悲しき歡樂くわんらくおそれてふるふ。
日は沈み、たそがれどきのそらの色
靑き魔藥まやくかおりしてりつつゆけば、
ほのかにもさそはれきら隊商カラバン
すず鳴る……あはれ、今日けふもまた恐怖おそれ豫報しらせ
はとばかりつぐをののくもののいき
いろ天鵝絨びらうどるごとき裳裾もすそのほかは
聲もなく甘くおもたき靄のやみ
はやも王女のらすべき夜とこそなりぬ。
四十一年八月

Original Text

Kitahara Hakushū’s Jashūmon (Heretical Faith) is a groundbreaking poetry collection from 1909 that represents a pivotal moment in Japanese literature. As a leading figure in the Symbolist movement in Japan, Hakushū used this work to break from traditional Japanese poetic forms. The poems in Jashūmon are characterized by their exotic, decadent, and often mystical imagery, drawing inspiration from European Symbolism and a fascination with foreign cultures and objects.

Hakushū’s vivid, sensory language creates a world of vibrant colors, rich textures, and unique sounds. He often uses words of Portuguese origin, such as “birōdo” (velvet) and “kastēra” (sponge cake), to evoke a sense of the exotic and the forbidden. The title itself, Jashūmon, refers to “heretical religion,” a term historically used in Japan for Christianity, particularly in the early modern period. This title reflects the poet’s exploration of non-traditional themes and his rebellion against established poetic norms.

Through its rich symbolism and sensual aesthetic, Jashūmon invites readers into a world of introspection and spiritual questioning. It’s a collection that challenges the reader to look beyond the surface and delve into a world where beauty and decay, faith and heresy, coexist.

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